レッテル貼られると感想に困るぜ辻井くん
今から10年ぐらい前の、とある週末の夕方のテレビ番組だったと思うのだけど、目の不自由だが天才的なピアノ奏者の少年というの紹介してる番組があった。
で、私はふーん、スティービー・ワンダーとか、レイ・チャールズとか、盲目のピアニストって多いなあとぐらいしか思ってなかったのですが、弾きはじめるとそれは綺麗な音でふーん、と思ってて
いつのまにか聞いてて、で「ここでタメが来る」と思ってたら
スコーンと何の仕掛けも無くど真ん中直球の音がやってきて
なんとこの子はまっすぐな心で演奏してるのだろう
なんて自分はつまらない小細工を考えながら音楽を聞いてるのだろう
などとショックを受けたことがありました。
だからといって反省してないのはみなさん知ってのとおりですが。
その後、その少年は、三枝成彰さん等の音楽家の方々がバックアップして公演などを行うようになったのですが、その時の三枝成彰さんのコメントが印象的でした。
「ただのうまいピアノ弾きで終わるのか、偉大な音楽家になるのかを見守って行かないといけない」
そしてその子の名前をずっと覚えずに(そんなんばっかりです)気がついたら、辻井伸行というピアニストのアルバムがツタヤにあった。
この子だよなあ。
なんか賞とったらしいなあ。
というわけで本日借りてきました。新作借りたのなんて何年ぶりでしょうか。私の好きなリストの「愛の夢」やラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」とか入ってます。「英雄ポロネーズ」も。誰でもどっかで一度は聞いた事があるような曲ばっかしです。いいですね。
「愛の夢」は速すぎだと思うんだけど、青春のまっただ中の青年の「愛の夢」なのかもしれません。フジ子・ヘミングの、おばあちゃんが孫に絵本を読みきかせるような「愛の夢」と比較すると、違いすぎて笑えます。
フジ子・ヘミング嫌いな人多いみたいですけど、玄人好みではないということなのかな。私はよく知らないので、ああいうベタなのは嫌いじゃないです。
辻井くんの自作曲「ロックフェラーの天使の羽」は綺麗な曲でした。
でも、発売元が AVEX というだけで、すでに私は素直になれずにいるのでした。
まあ時が経てば、ちゃんと聴けると思います。